ヨーロッパでの宮脇方式の紹介について(1/3)ガーディアン紙での掲載

 今、ヨーロッパで宮脇方式による森づくりが脚光を浴びています。オランダやフランスなどで生まれた植樹団体が音頭を取り、各地に小さな森をつくっているのです。3回に分けてお送りする、ヨーロッパにおける「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」、1回目は英国の「ガーディアン」紙に掲載された記事をご紹介します。元の記事はこちらのリンクからご覧いただけます。

https://www.theguardian.com/environment/2020/jun/13/fast-growing-mini-forests-spring-up-in-europe-to-aid-climate

英国「ガーディアン」紙
2020年6月13日 ハナ・ルイス

気候変動を緩和するため生長の速いミニ・フォレストがヨーロッパで次々と誕生
 ――宮脇方式の森は他の森よりも植樹の密度が高く、生物多様性に富んでいるという

 木々が密に植えられた小さい規模の森がヨーロッパ各地に生まれている。生物多様性を取り戻し、気候変動を止めることを目的としている。

 こういった森は学校の校庭や道路脇に作られ、テニスコートほどの広さしかないものもある。日本の植物学者、宮脇昭の実績に基づいており、日本やマレーシアなどの国々でこのような森を彼は1,000以上作ってきている。

 この植樹法を推し進める者たちによると、小さな森は従来の方法で植えられた森よりも10倍速く生長し、密度は30倍になり、生物多様性は100倍になる。土地本来の木を1平米につき3本植えるという密植がこれを可能にしている。多様な樹種――理想的には30種以上――の木を植えることが望ましく、これによって自然林の多層構造が再現される。

 このような生態系は気候変動の目標を達成するためのカギを握るものだと科学者たちは言う。単一林よりも自然林のほうが二酸化炭素を40倍も吸収することができると推測している。森林が自力で再生するのに70数年かかるのに対して、宮脇方式で作られた森ははるかに短い時間で土地が再生できるように設計されている。

 「これは素晴らしい活動です」と、野生生物学者のエリック・ダイナスタインは言う。彼は最近、多大な被害をもたらす気候変動を回避するためには地表上にある自然の半分を保護するか管理するべきだという論文を共同執筆したばかりである。「この活動は郊外や都市部で可能で、ミニ・フォレストをいくつも連ねることによって野生生物のための緑の回廊ができるかもしれません」。

 ダイナスタイン氏はミニ・フォレストに渡り鳥が訪れるかもしれないと言っている。「渡り鳥はイモムシや成長した昆虫を餌としています。土地本来の木が植えられていれば、それがたとえミニ・フォレストであっても、お腹をすかせた鳥たちが栄養価の高いごはんを食べにすぐ飛んで来られる、いわばファストフードを提供する場になる可能性があります」。

 2017年にオランダのワゲニンゲン大学は新しく植えられたミニ・フォレストを調査し、次の結論を導き出した。「近隣の森に比べて生物多様性の度合いが高くなっている。調査した森のほうが、種の数と訪れる個体の数の両面において全体的に多い」。

 生物多様性の豊かさは森がまだ若いことと開かれていることが原因であると、ファブリス・オットバーグは話す。動物生態学者のオットバーグ氏はこの調査を主導した人物だ。森が開かれていることによって、開花している植物に日光が届きやすく、これが授粉者を呼び寄せている。オットバーグ氏によると、多種類の木々を植えたことによって多様性が押し上げられており、昆虫やカタツムリ、チョウ、両生類、小さな虫、バッタなどのようなより多種類の生物に食物と住みかを提供している。

 オランダでは、環境保護団体のIVNネイチャー・エデュケイションが2015年以来100の宮脇方式の森を都市部や個人の家庭で作る手伝いをしている。2022年までにこれを倍増する道筋がついており、また、十数か国でも同じような活動を行っている。ベルギーとフランスにある他の団体も、少なくとも40のミニ・フォレストを最近作っている。

 フランスで最初に植えられたミニ・フォレストは、パリの外れにある交通量の多い4車線道路の脇にできた。密植した木々に隣接する界隈のために、騒音を減らし空気を浄化する目的で作られた。植樹当日、集まった40人の参加者が31種類の苗木を植え、新しい生命を土地に誕生させた。土には、地元の厩舎で準備された堆肥を混ぜ込んであった。

 これにさかのぼること2年前、エンリコ・フストとダミアン・サラセニはパリ市が提供する参加型の予算執行計画に申し込んでいた。市の予算の5%をどのように使うか、市民からアイデアを募るというものだ。二人はミニ・フォレストをいくつも作ることを提案し、これによって市内の緑被率を上げられると主張した。パリの緑被率は現在10%以下で、他国の大都市に比べてずっと低い。「それぞれのコミュニティが、土地再生の物語の主人公になれるのです」と、フスト氏は言う。

 トゥールーズでは、ミニ・フォレストを推奨する別の団体が400平米の土地に1,200本の木を3月に植樹した。ベルギー人で博物学者のニコラス・ドゥ・ブラバンデールは植樹団体アーバン・フォレスツの創始者であり、2016年に宮脇方式の森づくりを始めた。ボランティアや地元の有識者をまとめあげ、300本の苗木を道路そばの細長い草地に植えた。その時に初めて植えた木々は今や高さ3メートルの森に生長し、林床は腐植土に厚く覆われている。

 ドゥ・ブラバンデール氏は、森づくりが参加型であること、また、その生長する速度が人々の興味を引くのだと言う。この運動の未来は明るいと、彼は言う。「この話をすると、毎回、みんな気に入ってくれるのです。ですから、この流行が続くような、いい予感がしています」。

(訳:事務局)